…(子供?なんでしょうあの子…何か違和感を感じますね。悪意は感じませんが只者ではないような)

おやじにお礼はいーよ、向こうが押し付けてきただけだし
感想だけ貰えればおやじも喜んでくれるしさ

(自分に向けられた礼の言葉に気にすんなと笑顔で返す。ここだけの話、セトの前回の試作品の感想が的確だったってパン屋のおやじすげー喜んでたんだぜ。今回も頼まれてんの。とにやにやとした笑みにからかいの気持ちを湛えつつ、内緒と示す様に口元に人差し指を添えた)

（急いだつもりだったけれど、待ち合わせには少し遅れてしまったようだ。先に着いている相手の姿を認めておーいと手を振る）

ごめーん！お待たせ。

（はあと息を整える。こうして遊びに毎度付き合ってもらって時間を取らせて申し訳ない反面、気を使わなくていい相手と過ごす時間は何よりも楽しかったし気晴らしになるから誘ってもらえて嬉しく思っていた。）

今日は何しよっか？

貴方いい人だね。よくそう言われない？

セトくんね！
うんうんよろしくよろしく
ね！今度遊びに行かない？美味しいお菓子食べれるところ、知ってるんだ。一人で行くのもどうかなって思ってたし、良ければ一緒にどう？

うまいだろ
パン屋のおやじ自信家だけど、確かに味はうまいんだよな

(やっと見れたヴェレスの笑みに笑みを返す)

遠慮すんなって
寧ろ渡す当てがあっと助かるくらいだし

ちょうどよく池があったから助かったでござる！
拙者派手好きにござるが派手な怪我は嫌いでござるからな！

む？
何やら一般ピーポーとは違った気を感じるでござるな
そして拙者は正真正銘のシノビにござるよ

パン屋のオヤジさんが？
…ふふ、意外だね、じゃあまた頑張ってパンの感想を直接伝えるよ

教えてくれてありがとうね

いい人…ですか？
えっと…ふふ…ありがとうございます

遊びにですか？
僕でよければもちろんいいですけれど…

うん、…これマジで美味しいよ、親父さんにそう伝えておいて

そう……なんだ。じゃあ、そのパン スコルと俺でこれから食べちゃおうよ。スコルはきっと友達多いだろうし渡す人はいくらでもいるかもしれないけど……俺とだけ共有して、って言ったら怒る？

おう、伝えとく。おやじ喜ぶよ

(考えることの得意ではない鈍い頭ではヴェレスの提案の意図が理解できなかったのか、目を瞬かせる。ぼんやりと適当な推測をつけながらもすぐに穏やかな笑みを浮かべ歩み寄る)

？…いいけど。なんだ、ヴェレスそんなにパンが好きだったのか？
ちょっと多いけど、二人でならまあなんとか食えるだろ

おやじには内緒だからな！
口止めされてんだよ

(彼なら大丈夫だろう、とは思いつつも念押しに伝える。おやじに怒られるのは面倒だからな、いい人なんだけど、なんて思いながら)

こっちこそ毎度ありがとな。じゃ、また明日！

待ってないし、なんなら俺が早く来すぎただけ、気にすんなって

(ニーナの声と姿を視界に捉えると嬉しそうに笑む。怒られるリスクもあるのにわざわざ俺に会って遊んでくれている、なんて申し訳なく思っているのがお互い様なんてことは露知らず。それでもニーナとの時間は自分の中でも特別な時間で、歳上の我儘とは知りつつも誘わずにいられなかった)

あ、そうそう。昨日の夜かーさんがパウンドケーキ焼いたんだ
一緒に食べね？と思って持ってきたんだけど

(ワックスペーパーに包んだドライフルーツ入りのパウンドケーキを見せる。人のこない静かな丘は互いの家からも程よい距離にあり、お忍びの彼女と過ごすにはもってこいの場所だ。一際大きい木の下にぽつんとある古いベンチに彼女を誘う)