目が覚めると見覚えのあるところにいた
「あぁ 僕の家か...長い夢をみていた気がする」
彼はベッドから出るとふいにタバコに火をつけた
「あぁ、これが“さいご”のタバコか」
彼はタバコを吸いながらグラスに酒を注いだ
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ただの時計屋
ただの町娘
ただの研究員
ただの情報屋
ただの咎人
そして
ただの騎士に出会ったのは
彼がただの人だったからだ
彼はきっと夢を見ていた
「夢の後のタバコは美味しいけど
今日はお酒のほうが美味しいみたいだ..
夢でもなれない、なんて...フフッ
君だけでも...の存在を認めてくれてたらいいのにな」
彼はずっと願っていた
そして彼はずっと知っていた
“誰にも認めてもらない存在”ということを
彼がそう呟き終えると同じにタバコは燃え尽きていた