To : 義賊 ロジ
陰陽…?初めて聞く
…確かに、俺達みたいだ
だからこんなにも、惹かれるのかもしれない
(運命というものは信じない方だ。
しかし俺達がすぐに親しくなれたのは、お互いがお互いを探し求める…必然だったのかもしれない。
出会うべくして出会ったのかもしれない。
これが本の話だとはわかっている。
けれど、そうであれば嬉しいと思った。)
(昼間路上で寝たからか、やはり寝付けなかった。
しかし布団から抜け出そうとは思えなくて、隣の体温を感じながらぼんやりと天井を眺めていた。
今日はあまりにも色々とありすぎた。
12年分の出来事を一日に詰め込んだのではないかと思うくらいに……
「パパ」と、密かに寝言が聞こえる。
顔だけ動かし彼を見やれば、涙が頬を伝うのが見えた。
「死なないで、置いていかないで」。
…俺はロジと出会ったばかりで、彼のことはまだほとんど知らない。
…なあ、知りたいよ。教えてほしい。
何が、そんなにロジを苦しめるの。
どうしてだか分からないが、ロジの辛そうな声を聞くと俺も悲しいと思った。
俺に何ができる?…教えてよ)
俺は……俺は、置いていかない
ずっと、そばにいる
(起こさぬように上体をゆっくり起こす。
強く握られた手を優しく解き、繋いだ手の指を絡ませた。
空いている手でそっと涙を掬う。
そっと、起こさぬように。寝ている彼に聞こえるように、囁いて。
寝言を呟く彼の悲しみが、俺にも伝播する。
大切な人の死は、いつだって辛いものだ。
それを忘れてほしいとか、無理にでも前向きになれとか、俺はそんなふうには思わない。
ただその悲しみを、彼の強さで抱え込まないで欲しい。
俺には何ができるかわからないけれど。
代わりになれるとは思わないけれど。
ただ、彼の悲しみの側に俺を置いていてほしい。
どんな形であれ、ロジが進みたいと思ったときに、俺も一緒に歩みたいと思うから。)
大丈夫
俺がいるから
(届くかわからない。
けれど、伝えたかった。
先刻涙を掬った方の手で、彼の前髪をそっとかき分ける。
顕になったその額に、そっと口付けた。
いつでもその弱さを、俺に見せて。)