To : 義賊 ロジ
畑仕事…
あまり力になれるかわからないが、研究所に戻るまでなら、是非やらせてくれ
ロジが教えてくれるのか?
(目の前に出された農耕用具とつなぎを興味深く眺める。
知識はあるが、知識と実際の体験が全くの別物であることを俺はよく知っている。
先程ロジが育てていると言っていたし、彼が教えてくれるのならば、きっと楽しくやれるだろう。
体力が欲しいと思っていたのは、俺もそうなのだから。
作物が育つには時間がかかると聞く。
研究所へ戻るのは一ヶ月後…短い期間だけれど、力になれるなら。)
当たり前だ。どこへでも、一緒に行こう
……海?
ああ、それなら……俺にいい方法がある
(相手が自分の言葉に情欲を掻き立てられているだなんて露知らず、彼といれることが嬉しいのだと念押しに一緒にと繰り返した。
…最も、自分も彼を望んでいるのだけれど、彼の心境を知らないのだから言う由もない。
海、という言葉に思い当たることがある。
研究員にしては若いとはいえ、この才のおかげか一応ある程度の地位は持っているのだ。)
…これは、研究所の機密の話だが
崩落地は国境を超えて長く続いているのは知ってるか?
その崩落地の移動のための、上位研究員用の乗り物がある
あくまで開発中だから世には公表されていないが、短時間に無音で崩落地の端と端を繋ぐ…
機密なのは開発中だからじゃなくて、入国審査を素通りするからなのだが
(少し声を潜めて、人差し指を唇に当てる。
俺は彼の秘密を知ったのだ、おあいこだ。
もちろん機密を漏らしたことが知られれば俺もただじゃ済まないが、彼と共に居ることを選んだ今そんなことは大したことじゃない。
それに、俺は彼を信頼している。
あの乗り物を使えば、山を越えた麓まで行けるから、少しは海に近くなる。
降りてからまた歩かなければならないけれど、ロジと一緒ならきっと何とかなるだろう。
相手の手に自分の手を重ねる。
目を細めて首を傾げ、悪戯を企むようににやりと笑う。
これで俺も、お前も、共犯者だ。)
行くか?海