To : お嬢様 ニーナ
(相手の反応を伺う余裕すらなくて、言葉を紡ぐ。呆然としたようにも見える彼女は、何を思っているのだろう…?
と、すすり泣くような声がしてハッとする。泣かせた、と戸惑う俺を見越したように嬉しいと呟いた彼女の声は……幻聴じゃない)
…笑顔にするって言った側から、泣くなよ
(綺麗だ、って思った。もしかしたら、そう呟いていたかもしれない。涙をぼろぼろと零しているのに、それは幸せそうに表情を緩めるのが愛しくて
手をそっと頬に添えて、親指の腹で優しく涙を拭った。涙に濡れて輝く彼女の瞳が宝石みたいに輝いて見えて。思わず瞼にキスを落とした。泣き顔も綺麗だ、けど。楽しそうに笑うニーナが見たいから)
好きだよ、愛してる…ニーナ
絶対に、幸せにする。何があっても守るから
(これは約束。そして、俺の決意だった。俺を好きになってくれたことを、選んでくれたことを絶対に後悔させやしない。彼女の顔に添えたままの手で、そっと自分の方へと顔を向ける。愛しい。愛しい。この感情が隠し切れない
静かな高台の一際高い木の下。木漏れ日に優しく照らされ涙する彼女に愛の言葉を囁いて、唇に口付けた)