To : 義賊 ロジ
(借りた分厚い本数冊を鞄に入れ、閉館時間故に半ば追い出されるように図書館を後にする。
帰宅したら続きを読もう等とぼんやり考えながら、近くで聞こえた若者らしい快活な声になんとなく目をやる。
視線が絡む……、?俺に声をかけていたのか。
自分に声をかけてくる人なんて珍しいから、呼び止められたのが自分だと理解するのに時間がかかった。
赤髪、麦わら帽子。昼間。整った顔立ち。
…初対面ではあるが、一目でわかった。)
あなたがロジさん…か
昼間は面倒をかけたみたいで、すまない
体調はいつも通りだ。問題ない
(道端で倒れた、という事実を何ともない事として認識しているのだろう。
表情を変えることなく淡々と、礼も述べず謝罪と用件だけ伝える。
こんなに早く会えるとは思っていなかった。
「絶対ロジさんに失礼のないようにしてくださいね!」と再会を望みつつ念押ししたステーションのスタッフは、この俺と彼との再会を羨むのだろうか?
「またロジさん来てくれないかな…シードルさん、頼みましたよ」等と、いつも俺が運ばれるたびにうんざりしていたスタッフが掌を返すくらいだったのだ。
…等と色々思い浮かぶが、人との会話というものが上手くない為に、伝えようともしない。
何か俺に用があるのだろうか?俺のことを気にかけるなんて珍しい。
と不思議に思いながら、相手の様子を伺う。)