俺達4人は高校の同級生だった。所謂いつメンってヤツで、あの頃はよく一緒に遊んでいた。
卒業式の日、俺達は集まって近くの土手にタイムカプセルを埋めたんだ。30歳になった時、また皆で会おうと約束をして。
その後加藤は就職、渡辺は地元の有名大学に進学、鈴木は家業の工務店を引き継ぎ、俺田中は上京し都内の大学で法律を学んだ。
あれからもう12年。30になった俺達はあの土手に集合することになった。
俺は田舎を離れてしまったから、皆と顔を合わせるのも高校以来だ。
列車に揺られながら、皆とグループLINEで会話する。
「俺ら先に集合してるから、田中が着いたら駅まで迎えに行くからな!」
「了解!道に迷って乗り換え間違えたせいで、まだ1時間はかかるけどな」
変わらないなぁ皆。会えるのが楽しみだ。
ガタンゴトン、ガタンゴトン、列車が決まったリズムを刻む。移り変わる車窓を眺めていると、突然車内にアナウンスが響いた。
「急停止いたします。吊り革におつかまりください。」
列車の速度が急速に下がり、停止する。
思わず窓に頭をぶつけるところだった。
一体何事だ……?
疑問を浮かべたその直後、列車のドアが開く。
外に出てみると、空には大きな彗星が一条の線を描き落ちていくところだった。
「何だよ、これ…!」
彗星の落ちて行く先。それは、俺が今まさに向かおうとしていた故郷だった。
急いでスマホを取り出し皆に連絡する。
「そっちに彗星が落ちてる!早く逃げろ!」
「こっちは急に列車が止まっちまって、間に合いそうにない。これを読んだら車でも何でも使って逃げてくれ!」
既読がつく。数分の沈黙。
どうか早く逃げてくれ。握る手に力がこもる。次の瞬間、返信が届いた。
「ごめん。」
「本当はわかってたんだ。今日この村が滅ぶこと」
「ちゃんと伝えてなくてごめんな。俺達は村と共に滅ぶって決めたけど、俺達の中にお前がいないのは嫌で伝えられなかったんだ。だって俺達、いつも一緒だっただろ?」
「だけど、お前には都会に居場所がある。俺達と違って、生きる場所があるんだ」
「だから生きてくれ」
「遅刻してくれて、ありがとう」